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書店の未来がテーマ

詩と批評の『ユリイカ6月臨時増刊号』総特集 書店の未来 本を愛するすべての人に 読了。
ユリイカは、特集テーマによって、たまに買って読む雑誌。
今号は、いつもと違う路線?ちょっと変わったテーマかなぁと。
基本、雑誌なのでテーマをもとに、たくさんの書き手による短めの読み物を集積した内容。それにプラスして、対談も用意している構成。いろんな立場のいろんな書き手を用意していて充実している。
本の危機、書店の危機は、00年代からずっと続くテーマな気がする。(問題を顕現化した功績のある佐野眞一『誰が「本」を殺すのか』の初版が2001年。もう10年いや20年近く前になる。)
この雑誌からの学び

スタンダードブックストアの近況というか次の構想・・・さらにコンパクトに40坪くらいにしたいとのこと。(過去2フロアで285坪、1フロアで185坪、内カフェだけで50坪。つまりカフェより小さい。)
パルコブックセンターに勤めていた矢部さんの言葉「選書はおこがましい」(P146)

目次
【対談】
田口久美子+宮台由美子
新井見枝香+花田菜々子
【座談会 読書の学校】
福嶋聡+百々典孝+中川和彦
【未来の書店をつくる】
坂上友紀
田尻久子
井上雅人
中川和彦
大井実
宇野爵
小林眞
【わたしにとっての書店】
高山宏
中原蒼二
新出
柴野京子
由井緑郎
佐藤健一
【書店の過去・現在・未来】
山﨑厚男
矢部潤子
清田善昭
小林浩
【書店業界の未来】
山下優
熊沢真
藤則幸男
富樫建
村井良二
【海外から考える書店の未来】
大原ケイ
内沼晋太郎
 

日本でカレーライスが生まれた頃

『カレーライスと日本人』(森枝卓士・講談社学術文庫・2015)読了。
2015年に学術文庫版が出て、2018年8月で第3刷。原本は1989年に講談社現代新書として誕生している。
本書のテーマは、カレーライスはどこから生まれたのか?
そして、その答え探しの旅が本書の内容となっている。
カレーライス・・・日本人の国民食といっていい(のか?)程、親しまれている料理は、一体いつ頃、どこから生まれたのか?
しっかりした調査を続けた旅であったが、資料や物証等が少ない、はっきりと断定した答えは出ていない。しかし、ほぼ間違いないだろうという推測の土台までは提供してくれている。その意味で本書は古典として、残っていくだろう価値がある。
カレーといえば、当然にその出自は、インドが思いつく。しかし、インドにカレーはない。というか、カレーはあるけど、インド料理全般がカレーといえばカレーにあたる。日本のカレーライス(いわゆる小麦粉の入ったドロっとしたカレールーと肉、ニンジン、タマネギ、ジャガイモという具のセット)とは、系統が違う食べ物である。そもそもインドでのカレーは、スパイスの調合から始める料理で、カレー粉やカレールウというものはないし、使わない。というわけで、インド発祥説は消える。
インドでなければ・・・で、次に来るのが、欧風カレーなんて言われるイギリスルーツ説を確かめている。確かにカレー粉が最初に生まれたのはイギリスであった。しかし、著者の調べが進むうちに、カレーライスのイギリス発祥説もあやしくなってくる。カレー粉を初めて作り売っていたと記録にあるC&Bにとって、カレー粉は、数多くある製品群の一つに過ぎず、イギリスでの国民食を支える存在ではなかったこと。カレーはあるにはあったが、それはかつての生活様式として1週間分の肉を焼いて、1週間かけて食べていく中で、時間経った肉の食べ方だった。主役は肉であり、カレーは肉を食べるためのソースに過ぎなかった。そして、ここでも具としてのニンジン、タマネギ、ジャガイモという組み合わせは出てこない。イギリスだけでなく、フランス、ドイツにもカレーライスの原型になるカレー料理はなかった。
カレーのルーツを巡る旅はインド、イギリスでは確証は得られず、日本での文献調査という振り出しに戻る。明治維新、文明開化の時を経て、肉食は大体的にOKになった。料理としては、外食としての牛鍋が中心で、明治の段階でもカレーライスはまだポピュラーになっていない。しかし、カレーライスの原型は徐々に姿をあらわしてきており、最初期は、まさかのカエル肉を使ったカエルカレーだった。カエル肉は中華系の流れにあり、欧米勢の進出にともない調理人としてきていた中国人たちからの影響だったと考えられる。もう一つ、この時代には、まだニンジン、タマネギ、ジャガイモが、外来の珍しい野菜という扱いだったこと。
食べ物の受容は、1:外食を通じて、2:雑誌や書籍のレシピ紹介などを通じてという流れのあと、3:家庭での調理という形で入ってくる。明治の段階では、まだ1と2の段階であった。
そして、結論としては、カレーライスがひろく普及するのは、大正時代であった。一つ大きな変化として、牛肉のカレーでなく、(当然カエル肉でもなく)豚肉を使うカレーが出てきたことが家庭料理にまでおりてくる要因となったようである。豚肉はトンカツやコロッケという料理を通じておいしい肉として家庭料理に普及していった。またシチュ料理からカレー粉を使う形での転換でカレーになっていったと思われる。
そして大正時代の普及化の波の次に来るのが、戦後である。軍隊での経験を通じて、あるいは学校での寮での経験を通じて、洋食やカレーライスを食べた農村部の人達が、地元に戻ってからもカレーライスを家族とともに食べていくという流れが、国民食的な普及につながっていった。
カレーライス・・・今では当たり前に食卓に登場する料理であるが、その出発はそんなに古くない大正であったことを学べたことは、自分にとって大きな成果である。案外古くないカレーライス。
目次
1:    辛くないカレーと黄色くないカレー
2:   インドでカレーを考えた
3:   カレー粉誕生
4:   日本カレー繁盛物語
5:   日本人はなぜカレーが好きなのか
補遺:その後の「カレー考」
 

日系小売業のアジア市場への進出と撤退(まとめ編)

 
『アジア市場を拓く −小売国際化の100年と市場グルーバル化−』(川端基夫・新評論・2011)読了。
これまでに読んだ『アジア市場幻想論』『アジア市場のコンテキスト【東南アジア編】』『アジア市場のコンテキスト【東アジア編】』のおさらいの意味で読んでみた。学術色の強い本。三冊にはなかった戦前・戦中の進出の歴史と欧州方面の進出(とほぼ撤退)の歴史を追加で知ることができた。
結局、進出し撤退したのは、百貨店系、スーパー系もほぼ同様に、約7割になるようだ。現地には現地の市場特性があり、日本国内と同じ感覚では通用しない。だから撤退が多い。
戦前・戦中の当時の大きな小売業は百貨店なので、百貨店の話がメイン。意外にも、旧植民地進出は少ない。既に現地展開を始めていた日系ではあるが現地ベースの百貨店(大型店)があったため。
その他で本書で、特徴的というか、「なるほど!」と思わされたのは、東南アジア市場について、(1)他の外資と競った地域と(2)他の外資と競わなかった地域、という分類整理の仕方である。
香港やタイでの早期進出のメリットを享受した(そして後に苦い経験も)大丸や台湾の戒厳令後の絶妙なタイミングでの出店で他にない立場を得たそごうという百貨店の事例。そして、スーパーの事例では、アジア通過危機の前に進出した日系スーパーと通過危機後に入っていった欧州と地場財閥系のハイパー系という差が、日系の撤退とハイパー系の定着・浸透という差につながっているのは、地域社会の経済発展的発展と流通が密接にリンクしていることを教えてくれる。
目次
序章:歴史の転換点に立って
第1章:戦前・戦中期における海外での市場開拓
第2章:戦後期における海外市場開拓の全容と現況
第3章:東南アジア市場の開拓Ⅰ
(インドネシア、フィリピン、シンガポール)
第4章:東南アジア市場の開拓Ⅱ
(タイ、マレーシア)
第5章:東アジア市場の開拓Ⅰ
(香港、台湾、韓国)
第6章:東アジア市場の開拓Ⅱ
(中国大陸)
第7章:欧州の市場開拓―アジアの市場開拓との新しいリンケージ
第8章:戦後期の大量閉店・撤退は何を語るのか
終章:アジアの新興市場をどう捉えるのか
 

アジア市場紹介の新書版

『消費大陸アジア −巨大市場を読みとく−』(川端基夫・ちくま新書・2017)読了。
著者の本の出版先としては、めずらしく(?)新評論でなく、ちくまの新書として誕生。専門家向けでなく、一般向けというわけかな。
2017年のアップデートの確認として。内容はこれまでに読んだ著書の成果を足して薄めた感じ?
ポカリスエットが、「スポーツで汗をかかない、お酒を飲まないので二日酔い」もない市場で、「テング熱対処 → ラマダン明けの向け」という価値シーンを地域事情にあわせて創出することができたことで、インドネシアで受け入れられていったという受容の例は興味深かった。
その他の学びというか再確認としては、やはり「所得の絶対額よりも配分がキー」という点と、安易に「文化的な要因」という思考停止をしてはいけない、という教訓の2つ。あと、「階級は断絶があり、階層には断絶なし」ということも学びとなった。
目次
序章 世界は意味と価値のモザイク
第1章 ポカリスエットはなぜインドネシアで人気なのか?―「意味」と「価値」の地域差
第2章 ドラッグストアに中国人観光客が集まる理由―「意味」と「価値」を生み出す社会の仕組み
第3章 意味づけを決める市場のコンテキスト―日本人が知らない「脈絡」
第4章 アジアの中間層市場―意味づけと市場拡大
終章 アジア市場の論理―市場のコンテキストに迫るために

1999年のアジア市場 

『アジア市場幻想論 −市場のフィルター構造とは何か−』(川端基夫・新評論・1999)読了。
同じ著者の2005年の東南アジア市場、2006年の東アジア市場の分析を読んだあとでの、その5〜10年弱前の東南アジア、東アジアの流通市場の様子を知るために読んでみた。
やはり、著者の分析は、単なるトレンド分析でなく、気候、民族・人口、宗教、歴史的経緯などを短期的に大きく変わることのない要素もとらえるため、05年、06年の著作と比較しても、基本的な潮流に変わりはなく、時代による差よりも共通点(というかほぼ不変さ)の方を確認することになった本である。
各地域の経済成長による経年変化よりも、著者自身の考察が深まっていく経年変化の方が興味深い。本作では、その後でてくることになる「地域暗黙知」という概念はまだでておらず、「市場のフィルター構造」という概念を用いての捉え方をしている。
また日本のバブル崩壊後の90年代以降、製造業の移転にはじまるアジアの成長のあとを追い、小売の海外進出も多かったが、そのかなりの数が、市場をきちんと読み取れず撤退を繰り返してきた歴史を知ると、著者のような研究を、小売業者達は、なぜちゃんと活かさないのか?と思う。
目次
序章 アジア市場の日系小売業
第1章 香港―撤退のメカニズム
第2章 シンガポール―戦略的都市国家の小売業
第3章 クアラルンプル―多民族国家の資産バブル
第4章 バンコク―都市膨張と郊外市場
第5章 台北―「好」日国での現実
第6章 上海―巨大市場とは何か
第7章 アジア市場への視角
第8章 中間層市場の実像
終章 多重の幻想を超える―市場のフィルター構造

東アジア市場の脈絡を紹介

『アジア市場のコンテキスト【東アジア編】 −受容のしくみと地域暗黙知−』(川端基夫・新評論・2006)読了。
東南アジア編に続く第二弾として、韓国、台湾、中国①(北京、上海、大連、香港、広東)の地域単位で紹介。さすがに10年以上前だけに、冬ソナなどトピックは、やや古くなっているが、書かれている地域の各市場脈絡(コンテキスト)ごとの微妙な違いと共通点は勉強になる。できれば10年後の今も定点観測、経年変化として知りたい。
日本だけをみていると、街角の零細な雑貨店、よろづ屋さん、そして飲食なら屋台群は、流通の歴史的経過の中で、必然的に消えていくものと捉えがちだが、他のアジア諸国では、①移動距離が短く、商圏が狭い、②タバコなど一本単位、小分け売り(1割プラス利益)、③かけ売りや値段交渉ができるなどなどの理由で、減ってはいるもののの流通の全体の中での比率は依然高いというのは、学びの一つである。
東南アジア編と同様に、東アジアも東アジアという大きな括りでとえらることは難しい。なぜなら大都市と農村部では全くちがう状況があるから、国単位でも難しい。それぞれの地域の市場脈絡を読み間違えるないためには、ここでも市場の脈絡を読むためには、7つの扉で(1:気候、2:民族・人口、3:宗教、4:市場分布、5:歴史的経緯、6:政策、7:所得)を丁寧に分析・統合してみる必要があることを証明して本となっている。
韓国の場合
・日本企業は反日を気にして進出先に選びにくい地域
・ファミリーマートは間接的(技術提携)で出ているが日本ブランドを意識されていない
・韓国の百貨店は、日本の百貨店の技術提携の影響を受けて誕生している
・儒教文化圏であり、職業観として小売評価低く、老舗が育ってこなかった
・儒教的価値観を反映し、女性の自家消費が目立たないテレビジョッピングが隆盛
・街角のよろづ屋的な存在「韓国スーパー」はコンビニのライバル
・ハイパー業態(GMS的)の「割引(ハリン)店」が隆盛
台湾の場合
・親日にも歴史的経緯で世代で違い3層構造がある
・親日だから進出は容易というわけでなく、市場に受け入れられず撤退も多い
中国の場合
・広い中国は、国単位での市場でなく、地域ごとに大きく違う
・個人より世帯所得、支出を決めるのは、所得の絶対額より配分(※中国に限らず)
・香港などでは小売業より不動産業配下の企業としての価値観の影響大きい(家賃上昇)
目次
第1章 越境するドラマと受容の脈絡
第2章 いま、東アジアで何が起きているのか
第3章 東アジアの「反日」と市場の脈絡
第4章 韓国の流通市場
第5章 台湾の「親日」と市場の脈絡
第6章 台湾の消費市場
第7章 「巨大消費市場」への幻想と市場の脈絡
第8章 中国の流通市場(北京、上海、大連)
第9章 中国の流通市場の脈絡(香港、広東)
第10章 東アジア市場の脈絡を探る
 

構築的に情報を生産するには?

『情報生産者になる』(上野千鶴子・ちくま新書・2018)読了。
上野千鶴子さんによる、これまでの上野ゼミを通じた論文製作プロセスを公開紹介した一冊。
新書ではありが、380ページあり、この本自体がお手本となるように、構築的に情報が整理され詰まった本である。目次をみれば内容もわかるという言葉どおりに、この本も目次を見ればそれだけで、何がどう書かれているかが、わかる。
目次
Ⅰ  情報生産の前に
1 情報とは何か?
2 問いを立てる
Ⅱ 海図となる計画をつくる
3 先行研究を批判的に検討する
4 研究計画書を書く
5 研究計画書を書く(当事者研究版)Ⅲ 理論も方法も使い方次第
Ⅳ 情報を収集し分析する
6 方法論とは何か?
7 対象と方法の選択
8 質的情報とは何か?
9 インタビューの仕方
10  質的情報の分析とは何か?
11  KJ 法のその先へ
Ⅴ アウトプットする
12   目次を書く
13   論文を書く
14  コメント力をつける
15  論文の書き方を学ぶ
Ⅵ 読者に届ける
16  口頭報告する
17  メッセージを届ける
18  プロデューサーになる

東南アジア市場の脈絡を紹介

『アジア市場のコンテキスト 【東南アジア編】 −グローバリゼージョンの現場から−』(川端基夫・新評論・2005)読了
東南アジア各国(タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム)での小売の市場特性および外資進出による受容による変化を詳細にレポートした力作。
最終章で著者が説明しているが、あえて定義が曖昧になりがちな「ローカルな市場の文化」という言葉を安易に使わず、「ローカルな市場の脈絡(コンテキスト)」という表現を使用し、脈略を構成し理解するキーとなる7つの要素を抽出して整理したのは正解である。
7つの要素(著者の言葉だと扉)とは、①気候、②民族・人口、③宗教、④市場分布、⑤歴史的経緯、⑥政策、⑦所得である。この7つで分類しただけでも、各国さまざまであることが、一瞬でわかる。この本では紹介されていないミャンマーやブルネイなどを含め6億人超の東南アジアは、決して小さい市場でなく大きい。しかし大きいけれど一様ではない。
全体としてみれば、(1)暑くて移動を避けるため商圏が狭いため等で、従来型の零細店ひしめく市場(いちば)がまだシェアが高い(2)巨大ショッピングセンターが買い物だけでなく都市空間としてスタンダードに という流れがある。
目次
第1章 グローバル化とローカルな市場の脈絡
第2章 いま、東南アジア市場で何が起きているのか
第3章 タイの消費市場
第4章 マレーシアの消費市場
第5章 シンガポールの流通市場
第6章 インドネシアの消費市場
第7章 フィリピンの消費市場
第8章 ベトナムの消費市場
第9章 東南アジア市場がわかる七つの扉

外食国際化の実情(おもにアジア)

『外食国際化のダイナミズム −新しい「越境のかたち」−』(川端基夫・新評論・2016)読了。
著者は関西学院大学商学部の教授であり、日本企業の海外進出をテーマとする専門家。学者の本あるので、本の構成と何か成果か?は的確に表されている。当事者でない分、具体的なエピソード等は弱いが、それはなくても、製造業でも流通(小売)でもない、外食産業に特有の海外進出にともなう傾向や課題は何かを知るにはよい本である。
この本からの学び

1:日本の外食で海外進出は7〜8割はアジア地域(欧州は弱い)
2:2003年以降増えた→アジア通貨危機からの立ち直り期にあたる
3:2010年以降さらに急増→03年はSARSと鳥インフルエンザ蔓延で日本の衛生に注目
4:外食は製造業、小売業に比べて中小零細が多いがそれでも海外進出はできる
5:海外進出の手法として、フランチャイジングというパターンがある
6:成否でいえば、5割ちょいが生き残りで、あとは撤退という状況
7:多店舗出店型よりも、小規模出店の方が利益上げ成功して残っている傾向ある
8:文化的な差→吉野家では味は同じでもOKだったが、店舗空間のつくり方で地域差あり
9:食材調達・店舗開発・人材育成の3つのオペレーションシステムがある
10:システム構築のためのサポーティング・インダストリーの存在
11:進出先の他企業には、競争関係と協調関係の側面がある
12:海外進出組は、日本発だけでなく、台湾系(おもに大陸向け)や韓国系などあり

分析はいいが、終章ので日本企業の強みを「オネスト・チェーン(誠実さの連鎖)」と括っているが、日本企業と一括りにするのは、やや雑な気がするが、全体像を学ぶのには、大変よい本である。

パンのペリカンの特異さを考える

『パンのペリカンのはなし』(渡辺陸・二見書房・2017)読了。
著者は、浅草にあるパン屋ペリカンの四代目である。1942年創業で、現在は食パンとロールパンの2種類(サイズはいくつかあり)に特化したパン屋である。1日食パン400本ロールパン約4000個が売れていき、行列ができる店先では、昼には売り切る人気店である。
モチモチ感が特徴のパンである。実際に、食パンをこの本でも紹介されている喫茶店で食べたことがあるが、確かに食感として、しっかりと“つまった感”がありモチモチ感があった。
ただこの本を読んでみても、実際に何が材料や製法の強みでどうやって他とは違うのかの、詳しい話は出てこないので、わからない。歴史の積み重ねが味方してくれていると、ふわっとした話で誤魔化させれいる(?)。謎が解明されている本ではないが、こういうお店があるんです、という紹介という意味では、あってもいい本かと。