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1999年のアジア市場 

『アジア市場幻想論 −市場のフィルター構造とは何か−』(川端基夫・新評論・1999)読了。

同じ著者の2005年の東南アジア市場、2006年の東アジア市場の分析を読んだあとでの、その5〜10年弱前の東南アジア、東アジアの流通市場の様子を知るために読んでみた。

やはり、著者の分析は、単なるトレンド分析でなく、気候、民族・人口、宗教、歴史的経緯などを短期的に大きく変わることのない要素もとらえるため、05年、06年の著作と比較しても、基本的な潮流に変わりはなく、時代による差よりも共通点(というかほぼ不変さ)の方を確認することになった本である。

各地域の経済成長による経年変化よりも、著者自身の考察が深まっていく経年変化の方が興味深い。本作では、その後でてくることになる「地域暗黙知」という概念はまだでておらず、「市場のフィルター構造」という概念を用いての捉え方をしている。

また日本のバブル崩壊後の90年代以降、製造業の移転にはじまるアジアの成長のあとを追い、小売の海外進出も多かったが、そのかなりの数が、市場をきちんと読み取れず撤退を繰り返してきた歴史を知ると、著者のような研究を、小売業者達は、なぜちゃんと活かさないのか?と思う。

目次
序章 アジア市場の日系小売業
第1章 香港―撤退のメカニズム
第2章 シンガポール―戦略的都市国家の小売業
第3章 クアラルンプル―多民族国家の資産バブル
第4章 バンコク―都市膨張と郊外市場
第5章 台北―「好」日国での現実
第6章 上海―巨大市場とは何か
第7章 アジア市場への視角
第8章 中間層市場の実像
終章 多重の幻想を超える―市場のフィルター構造