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日系小売業のアジア市場への進出と撤退(まとめ編)

 

『アジア市場を拓く −小売国際化の100年と市場グルーバル化−』(川端基夫・新評論・2011)読了。

これまでに読んだ『アジア市場幻想論』『アジア市場のコンテキスト【東南アジア編】』『アジア市場のコンテキスト【東アジア編】』のおさらいの意味で読んでみた。学術色の強い本。三冊にはなかった戦前・戦中の進出の歴史と欧州方面の進出(とほぼ撤退)の歴史を追加で知ることができた。

結局、進出し撤退したのは、百貨店系、スーパー系もほぼ同様に、約7割になるようだ。現地には現地の市場特性があり、日本国内と同じ感覚では通用しない。だから撤退が多い。

戦前・戦中の当時の大きな小売業は百貨店なので、百貨店の話がメイン。意外にも、旧植民地進出は少ない。既に現地展開を始めていた日系ではあるが現地ベースの百貨店(大型店)があったため。

その他で本書で、特徴的というか、「なるほど!」と思わされたのは、東南アジア市場について、(1)他の外資と競った地域と(2)他の外資と競わなかった地域、という分類整理の仕方である。

香港やタイでの早期進出のメリットを享受した(そして後に苦い経験も)大丸や台湾の戒厳令後の絶妙なタイミングでの出店で他にない立場を得たそごうという百貨店の事例。そして、スーパーの事例では、アジア通過危機の前に進出した日系スーパーと通過危機後に入っていった欧州と地場財閥系のハイパー系という差が、日系の撤退とハイパー系の定着・浸透という差につながっているのは、地域社会の経済発展的発展と流通が密接にリンクしていることを教えてくれる。

目次

序章:歴史の転換点に立って
第1章:戦前・戦中期における海外での市場開拓
第2章:戦後期における海外市場開拓の全容と現況
第3章:東南アジア市場の開拓Ⅰ
(インドネシア、フィリピン、シンガポール)
第4章:東南アジア市場の開拓Ⅱ
(タイ、マレーシア)
第5章:東アジア市場の開拓Ⅰ
(香港、台湾、韓国)
第6章:東アジア市場の開拓Ⅱ
(中国大陸)
第7章:欧州の市場開拓―アジアの市場開拓との新しいリンケージ
第8章:戦後期の大量閉店・撤退は何を語るのか
終章:アジアの新興市場をどう捉えるのか